チョコを通勤中の会社員に配って声かけをする「チョコレートナース」が始動!

未病の段階からクリニックに行きやすい空気をつくる

急性期病院に勤めていた菊地結実子さん(7期生)は、ICU/CCUに従事し、やりがいを感じながらも、
「患者さんが病院に来る前にやれることがあったのでは?」
「早い段階から寄り添う関わりができれば、治療の選択肢は広がったのでは?」
とジレンマを抱き始め、看護師歴がちょうど10年になった2018年、
「病院だけが看護師のフィールドではない!」
「予防医療やセルフケアを伝えたい」
と退職。

コミュニティナースに興味を持ち、コミュニティナースプロジェクトの7期生になりました。

現在は、救急専門医師が立ち上げた、平日は夜間23時、土日は14時までオープンしている『ロコクリニック中目黒』で看護師として働いています。彼女は、職場で感じた“あること”をヒントに、コミュニティナースプロジェクトの修了時に行う「出発式」で次のような発表をしたのです。

「当クリニックがまちにさらになじむために、私にできることはないかと考えました。以前から地域の人たちの健康づくりが気になっていて、クリニックの前の通りを歩いて通勤しているサラリーマンに着目しました。なぜなら、通勤者の表情は険しく、疲れた様子。クリニックに来るのは心療内科にも通う患者さんが多いんです」。

菊地は、不調を感じながらも慌ただしい毎日を頑張っている、そんな人たちに「いつでも見守っている私たちがいる」と伝えたいと考えたようです。
「心穏やかにホッとできる時間が持てたらいいなと思い、彼らにチョコレートを配り『いってらっしゃい、頑張ってきてください!』と笑顔で声をかけたらどうかな、と。『23時まで診療しています』と宣伝もし、働くスタッフの顔が見えると来院しやすくなるし、何か困りごとがあったときに思い出すのではと期待して、こんンプランを実践していきたいと思いました!」。

お菓子、それもチョコレートを配るとは、おもしろいアイデアです。
なぜチョコレートだったのでしょう?
「食べると気持ちがほっこりしますし、疲れたときに食べたくなるものだからです。私にとって、子どもの頃のご褒美といえばチョコでした。一緒に成長してきたなじみ深いお菓子なんです。チョコレートと一緒に一言メモも渡して、クリニックを思い出すきっかけになったらいいですね。たとえ病気ではなくても、未病の段階からクリニックに行きやすい空気をつくっていきたいです」。

7期の講座の出発式でこの思いを聞いた矢田明子さんは、それを「コミュニティナース研究所」のFacebookで紹介。菊地さんのアイデアに、大きな反響がありました。

Facebookに投稿された様子
Facebookに投稿された様子。コメント数は活動が進むたびに伸びていきます。

強い興味を持ったのが、看護師向けのサービスを提供する医療系企業で働く北村翔太さん。さまざまな企業との接点を持ち、コミュニティナースと企業とのコラボ企画に積極的な人です。北村さんはなんと、チョコレートの代表的メーカーとの場をセッティング。菊地さんと北村さんは企画書や資料を共につくり、実際に提案しました。

プレゼン資料の最初のページ。コミュニティナース研究所に参加すると全て閲覧できます。

結果はどうだったのでしょう? 菊地さんに聞きました。
「なんと、ご支援いただけることになりました。
チョコレートを通して住民の方と関わりを持てるようになります!さらに関わりを深めるためにイベント開催も考えていて、健康へアプローチをするため、当クリニックのスタッフを対象にチョコレートの健康効果について説明していただけることになりました。
その後、路上活動を開始します! 記念すべき第一歩目はホワイトデーの予定です。それまでに、住民が健康に興味を持ったか、健康になったか、笑顔になったかなどをどう可視化し評価していくか、考えていこうと思っています」。

「当日を迎える前から『緊張する~』と言っていたきくりん(菊地さん)でしたが、メーカーの担当者に自分の思いを一つひとつ丁寧に伝えました。隣にいてもその熱は伝わってきて、キラッとしていました(笑)。
その熱に、私も、担当者も心を動かされ『協力しよう』と思ったのだなと実感しました。これからもチョコレートナース応援隊としてフォローしていきます!」と北村さん。

活動開始以降は毎週月曜の朝8時から1時間、チョコレートを配って地域と接点を持ち、クリニックに来てもらって、人々に元気になってもらうことを目標としていくそう。今後の広がりが楽しみです。

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