記事の目的
今後、同じように「オンラインで有料コミュニティ」を運営していきたい人に向けて、こんな実体験が得られたよー!という話を言語化し、アーカイブすること。
記事の内容
無形の商材(今回でいうと、コミュニティナース研究所への参加とそれに付随するいろんなこと)を販売する時に、どうやってお金を集めようか?という課題に対して取り組んだ結果を報告しています。
全てが順調とは言えない状況だったからこそ、
「ここは落とし穴だから気をつけて!」
を見える化して、未来の価値にしていきたいと考えています。
※本記事は2019年1〜4月に検討した結果です※
検討条件
有料化にあたって、検討にあがった条件は以下の内容です。
(1)初期は「月額1,000円+税」の料金体系だけだが、将来的には「用途指定の支払い」や「投げ銭」など柔軟な支払い方も実験したい
つまり:拡張性が大事
(2)振込確認などのバックオフィスチームのマンパワーが少ない
つまり、可能な限り自動化したい
(3)手数料はなるべく安いほうがいい
(4)クレジットカードを持っていない人もいるので、可能な限り対応できるようにしたい
(5)カスタマーサポートのレスポンスが早い(困った時に相談できる)
検討方法
サービスA対サービスBの方式で、総合的に情報を集めるのではなく2種類を比較しながらベターなものを選んでいくようにしました。
第1ラウンド「PayPal」VS「Peatix」
結果:PayPalの勝利
海外の支払いサービス大手「PayPal(https://www.paypal.me/)」と、イベント集客サービスの「Peatix」を比較してみました。
勝負の決め手は「手数料」でした。
PayPalが30万円以下であれば「3.6 % + 40 円 / 件」であったのに対しPeatixは「4.9%+99円」でした。
具体的には、1ヶ月1,080円の参加費に対して「PayPalが79円」で「Peatixが152円」と、1件あたり73円高くなります。
そのため、PayPalの方が(3)手数料の観点から優れていると判断しました。
参考:
PayPalの手数料
Peatixの手数料
第2ラウンド「PayPal」VS「Paymo」
結果:PayPalの勝利
続いて、国内の支払いサービス「Paymo」を比較してみました。こちらはすでにコミュニティナース研究所にも参加している方が開催している別のイベントの決済でも利用していたサービスです(現在も、そちらでは利用しています)。
Paymoには2つのプランがあり、どちらも手数料の観点からは、Paymoの方が優れていました。
【スタンダード】
クレカ・コンビニ支払い:2.95%
PayPal支払い:3.6%【ライト】
手数料
無料(30日毎に決済額5万円まで)
超過分 5%
コミュニティナース研究所の予算から考えると、初月から5万円を超える可能性があったため選択するとしたら「スタンダード」の方でした。すると、手数料では47円優れていました。
一方で、懸念点として上がったのは最初に上げた条件の内、以下の2点です。
(4)クレジットカードを持っていない人への対応が難しい
銀行の講座連携による自動引落に対応していなかったので、別途口座振込をする必要があった。
→振り込まれたかをいちいち確認するのが相当大変/ヒューマンエラーの温床になり得る
(6)信頼性があるかどうか
「わりかんアプリpaymo」という別サービスが2019年5月30日に撤退していた。今後、Paymo.bizが継続されるかについて懸念があった。
以上の結果から、暫定的にPayPalの方が有利だと判断しました。
実験フェーズ:PayPal
ここまで検討したところで、PayPalで支払いがうまく運用できるかの実験を行いました。
実験では、数名のメンバーで実際に支払い(最小金額で、実験後に戻ってきましたが)をしてみたり、バックオフィス機能との連携について試してみました。
その結果、以下の問題が発生し、利用するサービスの再検討をすることになりました。
・書類問題で審査が通らなかった
ここは正直なところ僕らのミスな面もあるのですが、書類の不備により法人アカウントの設定がうまくいきませんでした。PayPalの場合、法人アカウントを作成する時に30日以内に書類審査が完了しないと強制的にアカウントが凍結され、二度と入れたお金が引き出せなくなる仕様になっていました。
再検討候補…Pay.jp
このタイミングですでに3月に入っており、有料化の予定だった2019年1月1日から3ヶ月が過ぎようとしていました。
あまり検討にかけられる時間もない中で上がってきた別の候補が「Pay.jp」でした。
こちらはPAY株式会社が運営している日本の決済サービスです。
選定した理由は、コミュニティナース研究所に参加しているメンバーの一人がこの会社の人とつながっており、僕らの困りごとに対して相談に乗ってくれる可能性が高かったからです。
僕らがやろうとしていることをお伝えしたところ、Pay.JPよりもBASEの方が適切だというお返事をいただき(しかも翌日に!早い!ありがたい!)PayPalからBASEへと検討するサービスを変更しました。
BASEでできること、断念したこと
最終的に支払い方法はBASEにすることにしました。
その結果、いくつかの点を妥協した部分もあります。
(1)初期は「月額1,000円+税」の料金体系だけだが、将来的には「用途指定の支払い」や「投げ銭」など柔軟な支払い方も実験したい
BASEはもともと「誰でも簡単にオンラインショップを開ける」サービスなので、様々な商品を追加することができるので拡張性は最も高いと思う。ただしさすがに「投げ銭」には対応していない。
※他のサービスでも対応しているものはありません
(2)振込確認などのバックオフィスチームのマンパワーが少ないので、可能な限り自動化したい
特に会計ソフトへの自動入力ができることが重要で、その点BASEは自動連携機能があったので条件を満たしていた。
(3)手数料はなるべく安いほうがいい
BASEの手数料が「3.6%+40円+3%=111円」とPayPalよりも割高になったのは否めません。
(4)クレジットカードを持っていない人もいるので可能な限り対応できるようにしたい
現段階でのBASEはクレジットカード払いにしか対応しておらず、銀行からの自動引落に対応していたのがPayPalとPaymoだけだったので正直にここは妥協したポイントです。
今後、クレジットカード払い以外への対応策は考えていく必要があるなぁと思っています。
(5)カスタマーサポートのレスポンスが早い(困った時に相談できる)
次の(6)にも通じますが、ここが決め手としてかなり大きかったです。翌日にはカスタマーサポートの方からお返事をもらえたり、コミュニケーションがしっかり取れたのが心強かったです。
以上の検討を経て、コミュニティナース研究所の支払い方法は「BASE」を利用する事になりました。
当初の想定以上に時間がかかった原因は以下の3点があるかと思います。
1.コミュニティナース研究所の口座開設に想定以上の時間がかかった
年末に申請をして、通ったのが結局1月末の時点でした。まさかこんなに時間がかかるとは…
2.PayPalの書類不備に苦しめられた
ここの対応にも、結果的に1ヶ月弱を消費してしまいました。
3.バックオフィスチームとの連携、確認ポイントが当初の予想よりもかなり多かった
実際に支払いの実験をしていく中で「ここってどうなってる?」というポイントが多々出てきました。そこの解消がかなり大変でした。
BASEが優れていると思う点
一方、BASEが特に優れていると思う点は以下の2つです。
(1)管理画面が見やすい
これはとても主観的な印象ですが、同じように検討したメンバーからはPayPalと比較するとBASEの方が見やすい。PaymoとBASEのは同じくらい管理画面がわかりやすい。
という声があがりました。
(2)「商品」という形で簡単に支払い方法を追加できる
もともとオンラインショップ用のサービスなので、商品を増やす動線で簡単に支払い方法を追加することができます。
今後、有料化の際の議論に上った用途指定型の支払い方法や、参加費が複数種類あって特典に応じて段階分けができる仕組みを実装する時にもプラットフォームを乗り換えずに済みます。
今回の件で学んだこと
【1】口座開設はお早めに!本人確認書類と法人の場合は登記簿が必要な場合が多いから書類は揃えておこう!
【2】事前に「実験日」を3日くらい決めておく。
1日目:支払いの実験
2日目:反映されたかの確認(1日くらいかかる場合もある)
3日目:改善してもう一回実験
1回の実験にだいたい3日かかるもんだと思っておこう!
【3】簡単なことでもいいから、早めにカスタマーサポートにはお問い合わせをしておこう!
カスタマーサポートの返事が1日で来るのか、1週間でくるのか(そもそも来ないのか)によって、実験のスピードがぜんぜん変わります。ここは早めに「実際に問い合わせてみて確認」しておくと今後がスムーズになることがわかりました。
以上、コミュニティナース研究所の有料化にともなう過程で得た学びの共有でした!