ワイン用のぶどうとお茶を育てる農園が誕生。“結果的に健康”も広がる!? 事業の立ち上げで重要なことって?

プレイヤーの覚悟と関わる人を増やすことがカギ

2018年12月、島根県雲南市に『尺の内農園』が誕生しました。『社会福祉法人あおぞら福祉会』が障がい者の就労支援や所得向上による生活の自立を目的に、ワイン用のぶどうの栽培や番茶の収穫・加工などを行う農園です。矢田明子さんによると「雲南市が進めてきていた、子どもも若者も高齢者も一緒になって“働く”をつくるチャレンジの拠点」なのだそう。

この事業の背景には何があったのでしょう。「過去5年間に、雲南市でコミュニティナースやいろいろな若者のチャレンジが起きるなかで、『事業性(継続性と資金の循環)がないと一般市民が関わる“関わりしろ”を増やすのが難しい』という課題が見えてきていました」と矢田さん。

この『尺の内農園』の事業に雲南市地方創生アドバイザーとして関わり、「コミュニティナースプロジェクト」で講師も務めている『一般社団法人つむぎや』の代表理事・友廣裕一さんが森山さんとの関係性を築き、サポートしました。

友廣さんはこうコメントしています。「森山さんは出会って10分くらいで、『こんな暮らしをつくりたいんだよ』と、宮崎駿さんと養老孟司さんの本『虫眼とアニ眼』にある、宮崎さんの理想の地域を描いたスケッチを見せてくれました。それは、いろんな人達と連携・協働しないと実現できない世界観でした。その後すぐに自宅に泊めてもらい、いろんな話をし、信じられる方だと確信しました。世界観として閉じていなくて、開こうとしているのが大きかったですね」。

友廣さんはこの事業の関係者が多くなるよう、雲南市のコミュニティナースをはじめ、教育、産業、観光などのプレイヤーとの話し合いの場をつくりました。「少人数で事業をやったほうが意思決定は速いけれど、それだと得られるものが少ない。だからできるだけ閉じていかないように、いろんな風を送り込むことを意識しています」。

さらに友廣さんは「奈良にある自然農法の茶園『健一自然農園』の伊川健一くんが参画してくれたことも大きいです。彼はすでに耕作放棄茶畑を再生させる実績があったので、森山さんに奈良に何度も見に行ってもらい、現実のものにしていきました」と語ります。現在、地域内できちんと消費されるモデルを目指し、活動が始まっています。

参考:島根県雲南市役所の尺の内農園事業の紹介(Facebook)

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